東京ゲー大2011 夏期講習 (2011.8.27 at WinPa)
ライブレポート

Written by SST(S.S.T.BAND BACK-UP TEAM)

1993年の電撃解散(ゲームミュージックライブ電撃だっただけに)から18年。
待ち続けた僕達ファンの夢が遂に現実となった。
S.S.T.BAND「ほぼ」復活。これはもう「ほぼ」なんかじゃない。完全復活と言ってもいいハズだ。
これまでに何度再結成の噂が浮かび上がっては消え、消えてはまた浮かんだだろう。その一部については消えた真の理由について当時の関係者から理由をうかがえたので後ほど明かしたいと思う。
なお、今回のレポートはライブに行けなかった方々に現場の雰囲気を少しでも感じられたらなと思って書き起こしているので、参加された方には少々回りくどい書き方がされているかもしれない点についてはご了承頂きたい。

※今回のライブレポート公開にあたって、16SHOT様、並木さん、そしてtwitterで@nirakatuさんより写真を提供して頂きました。
また、写真の公開については正式にBLIND SPOTメンバーの皆様より許可を頂いております。

戦闘準備

今回のイベントはゲームBar 16SHOTさん主催のイベントであり、決してS.S.…じゃない、Blind Spotの為に開かれたイベントではない。
従って大トリであるBlind Spotの前には様々なバンドやイベントがあり、ライブ開始予定の19:30までは実に6時間程もあった。
その為、完全にBlind Spot目当ての人たちはその時間に合わせて来場されたようだ。

当日はS.S.T.BAND活動当初に存在していた親衛隊、元祖S.S.T.BAND BACK-UP TEAMのメンバーであったARA.氏と、当サイト及びmixiのS.S.T.コミュ常連さんと落ち会って、当時の思い出話に浸っていた。
この時間は18年前に帰る為に必要な時間だったと思う。S.S.T.に関することは勿論、当時の環境等ひっくるめて記憶を戻すのにとても有意義な時間だった。

そんな時間を過ごす中、立ち話をする僕達の横を色んな人が通り過ぎて行った。
マスクをして軽く変装したターボ君、熊ちゃん、元セガでありカルテット・SDI・スーパーハングオンの作曲者 林克洋(ファンキーK.H)さん、元GAMADELICのMr.Kさん、セガモバ伊藤さん etc...

その時、当時からのゲームミュージックファンにとっては大変Bigな人物に遭遇してしまう。
元GMOレーベル、元サイトロンレーベルの大御所。現、株式会社ユーブック 代表取締役社長 大野善寛さんだ。
大野さんと言えば親衛隊としてのBACK-UP TEAM立ち上げから面倒を見て頂いた方。僕自身は立ち上げ時の会議には参加していなかったので実際にお会いするのはこの時が初めてだった。
ただ、大野さんが立ち上げたGA CORE(上のリンクを参照)でHiro&光吉インタビューや松前さんのインタビューで僕も少しだけ関わっている(ホントにちょっと)。そのせいかこのサイトをやっていることを話すとちゃんと覚えていて下さった。
大野さんからは色々と面白い当時の裏話を聞かせて頂いたのだが、その中でも一番興味深かったのはやはり何度か噂に上った再結成の話について。

「これまでに再結成の噂あったじゃん。あれ、なんでダメになったか知ってる?」

物凄くフランクに、大野さんはこう切り出した。

「確か解散後10周年の時の話だっけ。あれさー、実は対バンの都合なんだよね。」

要約するとこうだ。
S.S.T.解散10周年の再結成の話が持ち上がった時、実はライブ会場も決まっていてライブは元某社のバンドと対バンすることになっていた。
しかし急遽対バン相手が参加出来ないということになり話は流れた。
当時はセガ側も再結成についてOKを出しており、全く障害はなかったらしい。今回とは大違いだ。仮に対バン相手が活動できていたら、8年前には再結成ライブが出来ていたのだ。

まぁでもそれも今となってはあまり関係なかったかもしれない。18年という長い間待った甲斐もあって、この後僕達は実に大きな喜びを得たのだから。

戦闘開始

実はこのイベント、開場が40分程遅れた。そのせいで全てのイベントがほぼキレイに(?)40分押しだったのだ。
他のバンドさんがサクサクと進めてくれたお陰かどうかは分からないが、Blind Spot登場の時間は当初の遅れ程ひどくはなかったように思う(正直興奮し過ぎてあんまりよく覚えてない)。

さぁ、Blind Spotの登場だ。
メンバーが舞台に上がる前、ゲームミュージックフェスティバル'91の二日目を思わせるような英語のナレーションが入る。この声の主がどうしても光吉さんに聞こえて仕方がなかったのだが未だもってその真偽は不明。
仮に聞いてもこれは教えてくれないかもしれない(光吉さんだった場合の話)。ただ光吉さんにしては当時と比べて発音が良すぎたので、やっぱり違うかな?と思わないでもない(←超失礼)。

当日のセットリストを以下にまとめておく。

-----------------ここから-----------------

Blind Spot(ほぼS.S.T.BAND) セットリスト

  1. Space Harrier
  2. 〜MC〜
  3. Soup Up
  4. Like The Wind
  5. Blue Moon
  6. 〜MC〜
  7. Outride A Crisis
  8. 〜MC〜
  9. Secret....
  10. 〜MC〜
  11. Beyond The Galaxy
  12. 〜MC〜
  13. Thunder Blade Medley(Thunder Blade〜Burning Point)
  14. After Burner
  15. Magical Sound Shower(アンコール)

-----------------ここまで-----------------

登場したメンバーを見ると、なんと全員サングラスをかけている!!……あ、いや。正確には一人をのぞいて。
以前並木さんのBlogに、「奥様に本番の衣装は何がいいと思う?と聞いたら、黒のツナギ一択と言われた」という話が書いてあったが、流石にそれはないだろうと思っていたらなんと!ターボ君は当時の黒ツナギを着ているじゃないか!
そう、ターボ君初登場となった1990年日本青年館のステージと同じ衣装だ。しかも頭には当時のようにバンダナを巻いている!(感涙)

ターボ君のS.S.T.に対する愛は以前から自身の口から語られてきた程。この日のターボ君にはS.S.T.に対する強い愛が感じられた。

1曲目「Space Harrier」から客席のテンションは上がりっ放し。18年前と変わらない、いやそれ以上の勢いで僕達はBlind Spotの音に酔った。
そして初めてのMCの時間。
どんなことを話すんだろうと期待していたら並木さんの話はサングラスの話へ。

並木:「初心に帰ろうということで今回は全員サングラスをかけて出よう、と話していたんですが…」
松前:「忘れました!直前までサングラスをかけようって打ち合わせしてたのに忘れました!」



↑忘れた人(笑)

流石、ある意味期待を裏切らないというか何と言うかである(笑)。このユルさはS.S.T.そのものだ。
そして話はターボ君の衣装の話。

並木:「やっぱりここはターちゃんの衣装を突っ込む所でしょう。」
斉藤:「えー、18年振りということでわたくし実家に帰りましてこの衣装を探し出しました。」
「凄くカビ臭くてね。クリーニング出したんですけどそしたら胸の所のロゴが溶けちゃいまして。
今日パソコンで作ってきて貼りました!」

↑胸のマークが自作のロゴらしい

愛。これが愛だ(笑)。
そして次の曲への振り。

並木:「セガさんの都合なんですけどなんか最近ラッドモビールのCDが発売になったらしくて。一応我々にも協力をして貰えないかということで…。なんか釈然としないんですけど(会場爆笑)」

釈然としないというのは勿論、今回大人の事情でS.S.T.BANDという名前が使えなくなったという事実があり、そのくせ協力しろというのは釈然としないという意味である。
その気持ちはごもっとも(笑)。ともあれ2曲目はラッドモビールから「Soup Up」
MCなしで続けてド定番「Like The Wind」とゲームミュージックフェスティバル'92で一度だけ演奏された「Blue Moon」。当時はSDI Medleyとしてその後に「System Down」が演奏されたが今回は「Blue Moon」のみ。
S.S.T.ではチョッパーが多いターボ君だが、この曲ではフレットレスベースのムーディな演奏が心地よい。…最初の方ミスってたけど。

斉藤:「なんかメンバーが3人程いなくなってる(並木・飯島・松前の三氏が引っ込んでいた)んですけど。」
「何やってたんですか!」
並木:「ちゃんと聴いてましたよ。楽屋で。」
松前:「最初の方間違えたよね。」
斉藤:「え!?」
松前:「あれはマズいよな〜。あの間違え方は。」
斉藤:「ええええええええ」

なんなんだこのコントは(笑)。
そんなこんなでこの後は各メンバーの紹介に続く。ここでは覚えてる三人だけ書く。

ギター 飯島丈治

飯島:「邪眼っていう愛想のないヘビメタバンドやってます。」(愛想のないって…)
キーボード 森藤晶司

ちょっとだけR三郎丸時代の光吉さんに髪型似てるよね
並木:「今回光吉が参加出来なくなったんで」
森藤:「言っちゃっていいですか?僕、実はS.S.T.のファンだったんです!コピーしてバンドやってましたしハリアーなんか譜面なくても行けます!」
並木:「森藤はハリアーを弾くのが夢だったそうです。良かったねー夢が叶って。」
森藤:「緊張して手なんか震えるし。もう本当に嬉しくて泣きそうでやばかったっすもん。」
並木:「うちは全員コードネームが付いてたんですけど今回森藤にもコードネームを付けました。」
「彼は実はセガラリーに関わっていたことがありまして。それであっさり『ラリー』に決まりました(笑)」
森藤:「一時期『森藤が如く』とか言われてましたよね!?『森藤が如く』じゃなくて良かったです。」
(新メンバーのラリー森藤さんです(笑))
ドラムス 熊丸久徳

並木:「コードネームと言えば何故か一人だけ曲名からコードネームが付いているSplash熊ちゃんこと熊丸久徳 on ドラムス。」
熊丸:「今回再結成するって聞いて本当に嬉しくて。7月くらいに一回目のリハやったんですけど、それから今までずっとワクワクしっ放し。」
「本当に楽しみにしてて。みんな今日は暑いけど楽しんでって下さい。」
(意外と普通のこと言ってたんで拍子抜け(ぉぃ))

そしてMCは次の曲の内容へ。

並木:「次の曲なんですけど、実はS.S.T.で今までやったことなくて。本邦初公開。」
「今日は作曲者の林君も来てくれてるんですけど…どこにいるかな。」

まさかの新曲だ。スーパーハングオン「Outride A Crisis」
再結成だけでいっぱいいっぱいだろうと思っていたらBlind Spotはこんな隠し玉を用意していた。
確かに「スーパーハングオン 20thアニバーサリーコレクション」が発売された時、並木さんがアレンジを担当したという話は知っていた。
どうやら今回のアレンジもそのCDをベースにしているらしいが(僕は未購入)、それにしても他のメンバーは多分初めて聴いたに違いない。
この短い準備期間で仕上げてしまうんだから、まったく凄いメンバーが揃ってるもんだ…。




さて、今回のイベントの主催である16SHOTさんのBlogで次のような記述があった。

「当日はBLIND SPOTの皆様からの発表もあるかもしれない、ないかもしれない。
新アルバム制作? もっと大きなライブ? 大物参戦? 真実は当日、会場にて!」

この時は完全に(スーパーハングオン作曲者の)林さんがステージ上に登場してきてMCでも一緒にやるのかと思っていた。
しかしその予想は大きく外れていたことにすぐ気付く。

並木:「今日は実はサンダーさんが来てくれているので…」(観客席からどよめき)

1991年、渋谷TAKE OFF7にて行われたプライベートライブ前日、肺気胸を患ってS.S.T.を脱退したサンダーこと田辺さん。
その田辺さんがステージに上がったのだ。これはまさしくサプライズ!
この後一時的にドラムスを熊ちゃんからサンダーさんに変え、ワンショットのネタ的な音楽を鳴らして退場。一瞬の出来事だったけどまたこうしてサンダーさんの叩くドラムが聴けるとは思わなかった!!

斉藤:「サンダーさんでしたーとか言わなくていいの!?」
並木:「あ。」
斉藤:「何も言わずにスゴスゴと退場して行っちゃったよ!」(笑)
並木:「サンダーさんでしたー。熊ちゃーん、戻ってきてー。」
熊丸:「初めて客席から見たよ。」
並木:「客席から見てたの?」
熊丸:「うん、客席から見てた。みんな老けたねー。」(笑)

みんな老けた、等と言いながら後に並木さんより「あの人来年50(歳)ですよ!?」とバラされる(笑)。
しかもその後、熊ちゃん本人から「来年じゃない。再来月です。再来月で50になります!」と訂正が入った(笑)。

7曲目。並木さん作曲によるギャラクシーフォース「Beyond The Galaxy」を演奏後のMCでは各個人の活動の紹介と告知のコーナー。
最も精力的に活動しているのは斉藤さんだ。斉藤さんのサイトからスケジュールを確認するとかなりの勢いでライブの予定が入っている。
あんなに色んなバンドやユニットの曲をよくやれるなと思う程に多い。
しかしそれに輪をかけていたのが熊ちゃん(ただ単に先々の予定を多めに言っただけかもしれないが…)。いつまで経っても告知が終わらない(笑)。「あともう一個だけ」「最後に一個だけ」と続く続く…。



邪眼なジョージさん(左上)、スケジュール山盛り熊ちゃん(右上)
そして家でパソコンの松前さん(笑)

この時スケジュールの一つに10/8のものがあり、それが丈治さんの邪眼ライブスケジュールと被っていた。

飯島:「思い切り被ってますケド。10/8に○○でやります。耳、大丈夫な人は来て下さい(笑)」
並木:「最後に大将(=松前さん)、なんかありますか?」
松前:「なんもないです。」(会場爆笑)
松前:「まぁ10/8は…(客席「おぉ!?」) 家で…(客席(笑)) パソコンやってます(笑)」
飯島:「どっちか来いっつー話だよな(笑)」

この後からは斉藤昌人オンステージ状態。サンダーブレードから「Thunder Blade Medley」
1990年は「Burning Point」のみの演奏だったが、今回は「Thunder Blade」も組み合わさっている。
途中でメンバーが全員引込み、熊ちゃんのドラムソロ披露。
そしてドラムソロが終わると…勿論斉藤さんの登場だ。1990年日本青年館、あのシーンをもう一度!と言って演奏を始めたのはプライベートライブだったが、それから20年後のこの日、またしても斉藤昌人究極のベースソロ(笑)が始まった。

「よろしくお願いします!」

この日は曲自体のテンポも若干遅かったが(メドレーにした関係だと思う)、ベースソロのレベルは数段上がっていた。そして余裕も感じられた。1990年は凄くきつそうに弾いてる所があり、爪も割れたという。
1990年でもやったソロ中のシャウト、今回は「セガ!」のシャウトを数回叫び、途中から「ほぼ!」になった(笑)。

このままの勢いで曲はラストに続いて行く。ライブのラストを飾るのはS.S.T.BANDの曲の中でも不動のエース級「After Burner」。もう抜群の安定感で、全員が余裕のプレイ。
最後まで一気に駆け抜けたような余韻の中でBlind Spotのライブはとりあえず終了。あくまでも「とりあえず」。

当然のようにメンバーが引っ込んですぐにアンコールの声が響き渡る。
最初はノーマルに「アンコール!アンコール!アンコール!アンコール!」
それが次第に「S.S.T.! S.S.T.!」というコールに変わり、終いには

「S.S.T.! \ほぼ!/ S.S.T.! \ほぼ!/」

というコールに変わっていた(笑)。
このコールは斉藤さんも「今のコールいいね!S.S.T.!ほぼ!S.S.T.!ってヤツ(笑)」と気に入った様子。

アンコール曲目はS.S.T.ライブの鉄板、「Magical Sound Shower」
この曲が終わってしまうと今日のライブが終わってしまう。終わって欲しくないという思いが出てきてしまったりもしたが、最後の曲ということで全身全霊をかけて応援したつもりだ。

こうして1993年の解散以来止まっていたS.S.T.BANDという時計の針は静かに動き出した。
今後、止まることなく動き続けるのかどうかは誰にもわからない。しかし次回以降の予定として来年年明け早々にでもライブが出来たらいいなと思っているとのこと。
次のライブはまた『ラリー』森藤さんが弾くのか、それとも光吉さんが復帰するのかも興味深い所。
光吉さんに帰って来て貰いたいのは勿論そうだが、今回の森藤さんもS.S.T.に対する深い愛を持っており、代役で終わらせるのが勿体ない程のメンバーだったと思う。
またメンバー全員に言えることだが、今回のステージを見て全員がとても楽しそうに、そして嬉しそうに演奏しているのが印象的だった。全員が笑顔だったのだ。このメンバーで音を出せることが本当に幸せであるかのように。
そして同じく僕達もまたこの上なく幸せだった。この時間をメンバーやファン全員で共有出来たことが一番の幸せだった。

あとがき

最後の方は睡魔がキツく、たまに夢を見て全然関係ない言葉が画面に並んでいたこともあったりして驚いたが、なんとか頑張って書き上げた。決してイイ出来のレポートではないかもしれないな…反省。
ライブに参加した方は出来事を思い起こして。不参加だった方にはイメージが少しでも伝わるように書こうと頑張ったが、なんか最後は手抜きと言われても仕方ない端折り具合ですね…申し訳ない。

今後も、「細く長く」で構わないので永続的にライブ活動をしてもらえると嬉しいなと思いながら、今回のレポートを終わりにしたいと思う。